6月号の「園だより」が発刊された。通巻635号・・・。今回の「園だより裏面・理事長のちょっと一言」には、東電・福島原発事故にに関する所感等を述べてみた。以下の通りです・・・。
皆さま、こんにちは。沖縄や奄美地方また九州南部も、23日には梅雨入りしたと言うことです。当地方、初夏のような暖かい日が来たと思えば、また降雨等で急に寒くなったりと、寒暖の差の激しい日々が続いています。どうぞ体調管理には充分お気をつけ下さり、お子たち共々元気な毎日をお過ごし下さいませ。
さて東日本大震災・・・。まだまだ大勢の被災者の皆さまが、避難所での不自由な生活を余儀なくされています。1日も早い復興をと心から念じるものです。
それにしても東電の原発事故は、ここに来て色々と不安材料が明るみに出つつあります。炉心溶融〔メルトダウン〕も、震災当日に始まっていたと言う米国専門家の見方が明るみに出ました。もし東電が、故意にメルトダウンについて隠していたあるいは発表を遅らせていたと言う事でしたら、誠に遺憾な事と言わねばなりません。また2ヵ月も経ってようやくメルトダウンをしていたみたいだとの事実が判ったと言うのでしたら、これはなおの事、不安な事と言えるのでは無いでしょうか?
ドイツのメルケル首相は、2022年までに同国は「脱原発」を目指すと発表したそうです。関東や東南海地震が何時来てもおかしくない時期に入っていると言う地震国「日本」においても、今こそ思い切った政策返還が求められているのではないでしょうか? 全く人智を超えた大災害が、事実起きてしまったのです。想定外と言う事で、今後は逃げられるものではないと思うのです・・・。
また「天譴論〔てんけんろん〕」と言う言葉〔思想〕がある事を、この大震災をきっかけとして初めて知りました。それは関東大震災の後に、同震災で被災した内村鑑三・北原白秋・芥川龍之介・武者小路実篤・和辻哲郎等といった錚々たる知識人たちが、"浮かれすぎ堕落した人類を懲らしめるために天が戒めを発揮した・・・"と、こぞって主張したと言う事を、言うようです。
ご案内の通り、石原都知事が3月14日に、"日本人のアイデンティティーは我欲。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う"と述べた事が大きく報道されていましたが、「天譴論」につながる想いだったのではと思えるのです。
それに関連して、5月7日付の「京都新聞『天眼』」には、哲学者の梅原猛氏が大震災に関して「神話の崩壊」と題し、「・・・近代人が共通に真理と考えている思想が、実は幻想にすぎない神話ではなかったかという疑問を投げかける。自然は母の如くやさしいものであるが、父の如く怒り狂うことがあるものであり、それを奴隷として使うことは大変な誤謬ではなかろうか。とすれば原発に依存することなしに果たして豊かで便利な現代の文明社会は可能かどうかという問いとともに、自然は果たして奴隷の如く、人間に唯々諾々と従うものであるかという問いが根本的に問われなければなるまい。・・・ようやく60年間考え続けてきた私の哲学を語るべきときがきたのである。」・・・と寄稿されています。
私自身はこの度の大震災に対し、「天譴論」と言いきるものではありませんが、"有難い"とか"勿体無い・お陰さまで・天地の冥加に尽きる・・・"等と言う、先人たちが日々口にしていた言葉・姿勢が消えつつある今日、この度の大震災を契機として、「やまと心」とでも言いますか、日常を謙虚に見直させて頂く事は、とても大切ではないだろうか・・・と強く思うものです。 〔出口眞人記〕
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