ぼたえもん童話集 『蛾と芋虫』②

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イモ 「ほれ、このとおり、いくら力いっぱい飛びあがってみても、

だめじゃありませんか」


ガ 「いや、それは、きみがぶさいくなからだ」


イモ 「じゃ、こんどはおもいきって飛びあがってみますよ」


ガ 「ヘタだなぁ、そんなことじゃ。 ぼくだったら、なんの苦も

なく地上をはなれてしまうのだがね」


イモ 「でも、ガ先生、わたしには、まだ、だいいち羽がはえて

いませんではないか」


ガ 「羽なんざ、どうでもよい。飛びあがろうという決心さえしたら

よいのだ」


イモムシは、いくら飛びあがっても、そのたびにバタリと落ちる

ばかりで、とうとうつかれて、目をまわしてしまいました。


第二のイモムシは、あまり熱心にガがすすめるので、

畑のまわりにたっている棒の頂上までのぼって、ポンと

上へ飛びあがろうとしましたら、かわいそうに、その下に

あった石の上へペチャコンと落ちて、腸をむきだして

死んでしまいました。


第三のイモムシは、いくらガがすすめても、私にはまだ

羽がはえていませんから飛べるはずがありませんといって、

そしらぬ顔で、あいかわらずウジウジと地上をのたくり

まわっていましたので、ぶじでした。



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このページは、出口眞人が2010年8月18日 15:31に書いたブログ記事です。

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