ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』②

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ある日のこと、三郎丸は、いつものように峠ののぼりぐちの

ところへ立って、通る人びとを待ちうけていました。


しかし、あいにく、その日にかぎって、朝からちっとも仕事が

なくて、もう日ぐれちかくなったのに、三郎丸の

ふところは、まだ一文のお金ももらっていませんでした。


「ああ、いやだなぁ、お父さんは昨日からご病気で

休んでいらっしゃるし、自分が一銭でもおおくもうけて

帰らねばならぬのに、このしまつとはなさけないなあ」


日ごろ、元気な三郎丸も、この時ばかりはぐんにゃりとし、

指をくわえてあたりを見まわしておりました。



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このページは、出口眞人が2010年8月18日 13:19に書いたブログ記事です。

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