その時、むこうのほうからぼろぼろのつぎきれをまとった
一人のきたない乞食が、もうだいぶ年よりと見えて、
右手に竹杖をつきながら、苦しそうに坂道へさしかかって
まいりました。
この峠の坂道は、たいへん急なので、普通の人でも、
「おお しんど、 おお しんど」といっています。
いま、この坂へさしかかった腰のまがった乞食は、
なにも持っていなくても苦しいのに、背中には、
コモでまいた重い荷物を持っていましたので、
ひと足登っては竹にすがって休み、ふた足登っては
立ちどまって休むというふうでした。
トラックバックURL: https://www.kameho.info/mt/mt-tb.cgi/130
このページは、出口眞人が2010年8月18日 13:37に書いたブログ記事です。
ひとつ前のブログ記事は「ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』②」です。
次のブログ記事は「ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』④」です。
コメントする