あるとき、神さまが、三人の子どもに一つぶずつの籾種をお与えになりました。
そして、おっしゃるには、
「お前たち三人のうち、誰がいちばん早くこの籾種から稲をつくって、よいお米を
つくることができるか、競争してみるがよい。勝った者に、よいごほうびをあげるから」
これを聞いた三人の少年は、早くこれをまいて、よい稲をつくりたいものだと、
そのことについて、いろいろ考えはじめました。
さて、甲の少年は、ひじょうにかち気な、せっかちの子でしたから、うちへ帰ると、
すぐに苗代をつくって、その一つぶの籾をまきました。
乙は考え深い性質でしたから、いちおう目上の人に聞くにかぎると思ったので、
お父さんに、どうしたら一番よく稲をつくることができるか聞きました。
おとうさんは、苗代のつくりかたから、まく時期から、いろいろ教えてくれましたので、
ばんじ、そのとおりにしました。
丙は、生まれつき こうかつなほうだったので、自分では、その籾をまかずに、
秋になって稲がみのる時分に、こっそり、どこかの、よさそうな田の籾をしっけい
して持って行こうと腹をきめていました。
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