ぼたえもん童話集 『ぽんぽん山』④

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これを見た三郎丸は、相手が見るもいやしいよぼよぼの

乞食であると言う事も、荷物を持ってやったところで

一文にもならないということも、いっさい忘れてしまって、

おもわずその側へかけつけて行きました。


「おじいさん、くるしいでしょう。私がその荷物を

上まで持って行ってあげましょう」


といいながら、いたわるように乞食の背中へ手をかけて、

その顔をのぞきこみました。


「いいえ、いいえ。どういたしまして、もったいない」


乞食はあきれたような顔で、しばらく三郎丸を

見つめていましたが、やがてハラハラと

両方の目から玉のような涙をこぼしました。




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このページは、出口眞人が2010年8月18日 13:43に書いたブログ記事です。

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