すると、ふしぎなことには、いつとはなしに、小さい五色の玉ができあがって
きて、これが、六助の頭上に高く舞いはじめました。六助は、
「きっと神さまがおいでになったのだ」
と思い、いっしょうけんめい、
「まことに、神さま、ありがとうございます。しかし、私はどうなってもかまいません
から、助かるものなら、どうぞ、せがれをお助けください。どうぞ、せがれを・・・」
とさけびますと、玉はフワリフワリと飛んで、やせおとろえている一人息子の上に
きました。そして、花の穴から呼吸とともに溶け込んで、はいってしまいました。
つぎの日も、おなじ五色の玉が飛んできて、しらぬまに、こんどは病人の吸う
スープの中にとけこんで、ノドから腹の中へはいっていきました。
こんなことが、たびたびかさなって、ついには、医者からもサジをなげられていた
大病人は、だんだん元気づいて、日ならずして、まったくもとの身体になりました。
こうして、八兵衛も六助も、この村での生神さまのようにみんなからいわれて、
たがいになかよく神さまを第一にお祭りし、村人をいたわって、さかえてゆきました。
めでたし めでたし。
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