その年よりがことわるのもきかずに、三郎丸は、
むりやりに背中の荷物をおろしてやって、そして自分で
背負いながら、とうとう峠のいただきまで送って
行きました。 そして、二人は、しばらく、いただき
の松の根で休みました。
そのとき、年よりは、うれし泣きにくれながら、
「あなたのご親切は、一生忘れません。さて、そのお礼
として、わたしがいま、ここでよいことをお教え
いたしますから、どうぞよくおぼえていてください」
と前おきをして、年よりは、急に大きな声で、
「ぽんぽんとぽんぽん山の腹鼓、宝の蔵は
いまぞぽんぽん」 と、三べんくりかえしてさけんだかと
おもうと、もう、その姿は煙のように消えて、見えなく
なってしまいました。
三郎丸が、あっとさけんで立ちあがったときには、
もう、その姿はすっかり消えてしまって、なにやらピカリ
と空で光っただけでした。
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