ああ、そんなら、あれは神さまだったのか、三郎丸は
ふとい吐息をもらしながら、スタスタと峠をくだって
行きました。
そうして、家へ帰るあいだ、口の中で、くりかえし、くりかえし、
「ぽんぽんとぽんぽん山の腹鼓、宝の蔵は
いまぞぽんぽん」 といううたをとなえてみました。
「いったい、これは、どういう意味のうたなんだろう?
へんてこなうただなぁ」
三郎丸は、いっこうわけがわかりませんでした。
けれど、なんだか調子がよいので、すぐおぼえて
しまいました。しかし、ふしぎなことには、雨が
降って陰気な晩や、お金がたりなくてお米が
買えぬ日などには、口の中で、このぽんぽんうたを
うたいさえすれば、急に元気が出てくる。
仕事は、しらぬまにあちこちからいうてきて
くれるというふうなので、三郎丸は、心の中で、
「なるほど、これはけっこうなうただわい」
と、さとりました。
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