ぽんぽん山がなりひびくときには、この国の王さまは、
さっそく大川で水を浴びて身を清め、真夜中に
家来もつれず、自分一人この山に登ってご神託を
受けてくるというのがならわしになっていました。
そこで、王さまご自身でぽんぽん山にお登りになり、
お宮の中へはいって、いっしょうけんめいご神徳を
お願いになっておられますと、白髪の年よりが出てきて、
「さあ、どうぞこちらへ」 といいながら、自分が先に立って、
そのお宮のうしろの道へと出ました。
王さまは、心の中で、
「どこへつれて行くのだろう」
とあやしみましたが、とにかく、だまって年よりの行く
ほうへとついて行きました。
やがて、二人は、谷をくだって、けわしい道を奥へ
奥へと進んで行きました。
木のあいだをもれる月影に、谷間の水が照らされて、
ちょうど水晶の数珠が流れているようでした。
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