しばらくして、二人は、ある大きな塔のように立っている
岩の前にまいりました。
「王さま、この中には、あらゆる世界の宝がかくしてあります。
いよいよそれをひらく時期がまいりました。そして、この
岩戸をひらくのは、三郎丸という子どもです」
年よりは、ニコニコほほえみながら、王さまをふりかえって、
こうもうしました。
と、やがて、年よりは、ドンドン急ぎ足でどこかへ行こうとしました。
「待ってください」
と王さまはそのあとを追いかけようとしたとき、足が急に
動かなくなってしまいました。
ますますあせっていたとき、ふと夢はさめました。
みると、身はやっぱり、ご神前にひれふしたままなのでした。
「さては、霊夢であったか」
と王さまはおさとりになりました。
さっそく、神さまにお礼を奏上して、お帰りになりました。
そして、この国に三郎丸という名前の少年があれば
呼び出せと、ご命令になりました。
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